電気主任技術者の選任と届出|専任・兼任・外部委託の選び分けと手続き【自家用電気工作物】
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電気主任技術者の選任と届出|専任・兼任・外部委託の選び分けと手続き【自家用電気工作物】

2026年7月29日24分で読める

電気主任技術者の選任とは、自家用電気工作物の設置者が電気事業法に基づき保安を統括する主任技術者を定めて届け出る手続きです。

電気主任技術者の選任と届出は、自家用電気工作物の設置者が専任・兼任・外部委託のいずれかの方式で保安を統括する体制を定め、保安規程とあわせて主務大臣(実務上の窓口は所轄の産業保安監督部)へ届け出る手続きです。自社に有資格者がいない、どの方式を選べばよいか判断がつかない、という受電設備の設置者や、それを支援する電気保安会社にとって、最初に押さえるべき論点になります。

本記事は、専任・兼任・許可選任・外部委託の4つの方式を1枚の早見表に整理し、受電規模別に「自社で選任すべきか、外部委託できるか」を切り分ける判定フローと、届出書類の早見表をまとめます。制度の網羅解説ではなく、設置者と受託保安会社が実際にどの方式を選ぶかという意思決定に絞って解説します。具体の様式番号・提出期限・許可基準などの細目は、所管窓口・e-Govで最新をご確認ください。

電気主任技術者の選任と届出の全体像を設置者から方式選択・保安規程と選任届出・主務大臣への届出まで示した図
電気主任技術者の選任と届出の全体像を設置者から方式選択・保安規程と選任届出・主務大臣への届出まで示した図

電気主任技術者の選任と届出とは|義務主体と根拠法

結論から言えば、電気主任技術者の選任と届出は自家用電気工作物の設置者の義務であり、設置者は保安規程を定めたうえで、主任技術者を選任して主務大臣に届け出ます(電気事業法42条・43条、2026-06-25確認)。専任・兼任・許可選任・外部委託のどの方式をとるかで、自社に有資格者を置くのか、社外に委ねるのかが変わります。

選任・届出の義務は誰にあるか(自家用電気工作物の設置者)

前提として、保安や点検・報告の義務は電気工作物を設置する側にあり、それを契約に基づいて代行するのが受託保安会社(電気保安会社)です。電気主任技術者を選任し届け出る義務も、自家用電気工作物の設置者にあります(電気事業法43条、2026-06-25確認)。受託保安会社は、この設置者の義務を実務面で支える立場であり、点検や記録の代行、外部委託先としての受任などを担います。

保安規程(電気事業法42条)と主任技術者の選任(43条)の関係

保安体制は2つの柱で成り立ちます。1つは保安規程で、事業用電気工作物を設置する者は保安規程を定め、使用の開始前に主務大臣へ届け出て、これを守る義務があります(電気事業法42条、2026-06-25確認)。もう1つが主任技術者の選任で、設置者は主任技術者免状の交付を受けている者のうちから主任技術者を選任し、届け出ます(電気事業法43条、2026-06-25確認)。保安規程が「どう保安するか」のルール、主任技術者が「誰が統括するか」の担い手であり、両輪でそろえる点が要点です。保安規程の中身は保安規程のテンプレートと記載事項で整理しています。

保安規程(電気事業法42条)と主任技術者の選任(電気事業法43条)の関係を示した図
保安規程(電気事業法42条)と主任技術者の選任(電気事業法43条)の関係を示した図

選任方式の全体像(早見表)

方式は大きく4つに分かれます。下表は、それぞれの担い手と対象のイメージを1枚に整理したものです。要件の細目や対象範囲は所管窓口・e-Govで確認する前提で、選び分けの見取り図としてご覧ください。

方式担い手主な対象イメージ根拠(2026-06-25確認)
専任自社の免状保有者自社に有資格者がいる設置者電気事業法43条
兼任一人が複数事業場を担当事業場が複数ある設置者電気事業法43条(細目は要確認)
許可選任免状非保有者(許可制)自家用(小規模事業用を除く)で免状保有者を置けない場合電気事業法43条
外部委託社外へ委託し選任しない電圧7000V以下で受電する需要設備など電気事業法施行規則52条2項

専任・兼任・外部委託の選び分け

4つの方式は、自社に免状保有者がいるか、事業場が複数か、受電規模が外部委託の対象かで選び分けます。ここでは代表的な方式の考え方を整理します。

専任・兼任・外部委託を自社人材の有無と受電電圧で選び分ける対比図
専任・兼任・外部委託を自社人材の有無と受電電圧で選び分ける対比図

専任|自社で免状保有者を主任技術者に選任する

自社に電気主任技術者免状の保有者がいれば、その人を主任技術者として選任し届け出るのが専任です(電気事業法43条、2026-06-25確認)。自社内で保安を統括できるため、設備状況を把握しやすく、判断も速いのが利点です。一方で、有資格者の採用・定着が前提になり、退職や異動で担い手が欠けると体制が揺らぎます。電気主任技術者の高齢化と要員確保の課題については電気主任技術者の人手不足への備えで整理しています。

兼任・許可選任|一人が複数を担う・免状非保有者を選任する場合

事業場が複数ある場合、一人の主任技術者が複数の事業場を兼任できる場合があります。ただし兼任できる事業場数や要件には細目があり、これらは所管窓口・e-Govで確認が必要です。また、自家用電気工作物(小規模事業用を除く)では、許可を受けて免状非保有者を主任技術者に選任できる場合があります(電気事業法43条、2026-06-25確認)。これを許可選任と呼びます。許可の基準の細目についても所管窓口で確認してください。

外部委託|受電7000V以下の需要設備で選任しない承認を受ける

一定の設備では、保安管理業務を外部に委託し、主任技術者を選任しないことについて承認を受けられます。その承認対象には、電圧7000V以下で受電する需要設備が含まれます(電気事業法施行規則52条2項、2026-06-25確認)。中小規模の受電設備の多くはこの範囲に入り得るため、自社に有資格者を置かずに社外へ委ねる道が開けます。委託先となるのが電気保安法人や電気管理技術者で、受託保安会社にとっては顧客の保安を担う中心的な業務です。委託先の選び方や受電7000Vの基準の詳細は電気保安業務の外部委託と受電7000Vの基準で解説しています。

受電規模別の選び分け判定フロー

どの方式を選ぶかは、受電電圧・自社人材の有無・事業場数の3つの軸で切り分けると整理しやすくなります。ここではモデルケースとしての判定の考え方を示します。個別事案の可否を保証するものではなく、最終的な適用は所管窓口・e-Govで確認してください。

受電規模別に選任すべきか外部委託できるかを切り分ける判定フローチャート
受電規模別に選任すべきか外部委託できるかを切り分ける判定フローチャート

判定の考え方(受電電圧・自社人材の有無・事業場数)

判定は3つの問いを順にたどると考えやすくなります。1つ目は、受電電圧が7000V以下の需要設備かどうかです。該当すれば外部委託承認の対象に含まれ得ます(電気事業法施行規則52条2項、2026-06-25確認)。2つ目は、自社に主任技術者免状の保有者がいるかどうかで、いれば専任、いなければ許可選任か外部委託が候補になります。3つ目は、事業場が複数あるかどうかで、複数なら兼任の可否も検討対象です。下表はこの分岐を早見表にしたモデルケースです。

状況有力な方式補足(2026-06-25確認・細目は要確認)
7000V以下で受電・自社に免状保有者あり専任電気事業法43条
7000V以下で受電・自社に有資格者なし外部委託施行規則52条2項の承認対象に含まれ得る
事業場が複数・有資格者は限られる兼任兼任の要件・上限は所管窓口で確認
免状保有者を置けない自家用(小規模事業用を除く)許可選任許可基準は所管窓口で確認

外部委託を選ぶ場合に確認しておくこと

外部委託を選ぶ場合、承認対象に含まれるかの確認に加えて、点検の頻度や委託先が担当できる事業場数の上限など、告示で定められる細目があります。これらの具体値は所管窓口・e-Govで確認してください。本記事では未確認の数値を断定しません。委託する側としては、委託先が受電設備の台帳・点検予定・記録をどこまで一元管理できるかを、契約前に確認しておくと運用がぶれません。

選任・届出の手続きと必要書類(早見表)

保安規程の届出と主任技術者の選任届出は、どちらも主務大臣へ提出します。実務上の窓口は所轄の産業保安監督部です。ここでは方式別の書類の類型を早見表で示します。

方式別の届出書類と提出先(主務大臣・所轄の産業保安監督部)を整理した早見表
方式別の届出書類と提出先(主務大臣・所轄の産業保安監督部)を整理した早見表

届出書類と提出先(主務大臣・所轄の産業保安監督部)

保安規程は使用の開始前に定めて届け出ます(電気事業法42条、2026-06-25確認)。主任技術者は選任時に届け出ます(電気事業法43条、2026-06-25確認)。いずれも提出先は主務大臣で、実務上の窓口は所轄の産業保安監督部です。ただし、具体的な提出様式(様式番号)・提出期限・権限の委任先の別などの細目は、所管窓口・e-Govで最新をご確認ください。

方式主な届出・手続き提出先(実務窓口)根拠(2026-06-25確認)
共通保安規程の届出主務大臣(所轄の産業保安監督部)電気事業法42条
専任主任技術者選任の届出主務大臣(所轄の産業保安監督部)電気事業法43条
許可選任選任の許可申請+届出所管窓口電気事業法43条(基準の細目は要確認)
外部委託選任しない承認の申請所管窓口施行規則52条2項

具体の様式・期限は所管窓口・e-Govで確認してください。

顧客の保安体制構築を受託保安会社が支援する流れ

受託保安会社の立場では、外部委託の受任は承認を受けて終わりではなく、そこから継続的な保安管理が始まります。顧客の受電設備を台帳に登録し、保安規程や契約を管理し、法定サイクルに沿って点検予定を組み、点検の実施・記録・報告、そして請求へとつなげる一連の流れを回すことになります。

受託保安会社が顧客の台帳から契約・点検予定・報告書・請求までを支援する流れ図
受託保安会社が顧客の台帳から契約・点検予定・報告書・請求までを支援する流れ図

この一気通貫の運用を紙やスプレッドシートで担うと、顧客数が増えるほど台帳・予定・記録が分散します。受電設備の台帳から点検予定の自動生成・期限超過アラート、モバイル点検入力から報告書PDF・月次請求までを1つの流れでつなぐ考え方は電気保安会社・保安法人の業務管理ガイドで整理しています。

よくある質問

電気主任技術者の選任は誰の義務ですか

自家用電気工作物の設置者の義務です。設置者は主任技術者免状の交付を受けている者のうちから主任技術者を選任し、届け出ます(電気事業法43条、2026-06-25確認)。点検・報告の実務を契約に基づいて代行するのが受託保安会社であり、義務そのものは設置者に残る点を押さえておくと、責任分界と方式選びが整理しやすくなります。

専任と外部委託はどう選び分けますか

受電電圧7000V以下で受電する需要設備などは、保安管理業務を外部委託して主任技術者を選任しない承認の対象に含まれます(電気事業法施行規則52条2項、2026-06-25確認)。自社に免状保有者がいるかどうかとあわせて判断し、有資格者がいれば専任、いなければ外部委託が現実的な選択肢になります。細目は所管窓口・e-Govで確認してください。

保安規程と主任技術者の届出はいつ必要ですか

保安規程は使用の開始前に定めて届け出ます(電気事業法42条、2026-06-25確認)。主任技術者は選任時に届け出ます(電気事業法43条、2026-06-25確認)。届出先はいずれも主務大臣で、実務上の窓口は所轄の産業保安監督部です。具体の提出先区分・様式・提出期限は、所管窓口・e-Govで最新をご確認ください。

免状を持つ人がいなくても選任できますか

自家用電気工作物(小規模事業用を除く)では、許可を受けて免状非保有者を主任技術者に選任できる場合があります(電気事業法43条、2026-06-25確認)。または外部委託承認を受ける方法もあります。どちらを選ぶかは受電規模と自社体制によって変わり、許可の基準の細目は所管窓口で確認してください。

外部委託にすると何がラクになりますか

承認対象の設備では、主任技術者を選任せず保安管理業務を委託できます(電気事業法施行規則52条2項、2026-06-25確認)。委託を受ける受託保安会社側では、受電設備の台帳・点検予定・記録を一元管理でき、点検から報告・請求までの流れをつなげられます。委託する側は、委託先の管理体制を契約前に確認しておくと安心です。

まとめ

電気主任技術者の選任と届出は、自家用電気工作物の設置者が保安規程とあわせて主務大臣へ届け出る義務であり(電気事業法42条・43条、2026-06-25確認)、専任・兼任・許可選任・外部委託の4方式から選び分けます。切り分けの軸は、受電電圧が7000V以下の需要設備か(施行規則52条2項、2026-06-25確認)、自社に免状保有者がいるか、事業場が複数かの3点です。自社に有資格者がいなければ外部委託が現実的な選択肢になり、その受け皿が受託保安会社です。様式番号・提出期限・許可基準などの細目は、所管窓口・e-Govで最新をご確認ください。


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